
M&Aはあくまでも両社の合意によって成約するので、価格以外の面で破談をしてしまうケースも中には見られます。早い段階で破談となれば大きなダメージは残りませんが、ある程度交渉が進んだ段階で破談をすると、多くの時間やコストが無駄になってしまう恐れがあるでしょう。では、成約の確率を高めるには、どのようなポイントを押さえるべきなのでしょうか?
ここでは、M&Aの成約において気を付けるべき成功ポイントを、買い手・売り手に分けてそれぞれ6つご紹介していきます。
買い手が押さえておくべきポイントとしては、
上記の3つが挙げられます。では、以下で各ポイントについて詳しく見ていきましょう。
M&Aは敵対的買収や乗っ取りではなく、あくまでも友好的に企業・事業を承継するため経営戦略です。したがって、資金を出す買い手だからといって、売り手に対して横柄な態度を取るべきではありません。売り手に悪い印象を与えると、それだけで破談をしてしまう恐れも考えられます。
したがって、M&Aの買い手は謙虚さ、誠実さを見せる姿勢で売り手に応じるようにしましょう。売り手にとって、長年築いてきた企業・事業は子どものようなものです。「あなたの大切なお子さんをお預かりします」といった姿勢で臨めば、売り手にも良い印象を与えられるはずです。
M&Aの売り手は、交渉の段階でさまざまな不安を抱えています。具体的な不安としては、
などが挙げられるでしょう。上記のような不安を売り手が感じている状態では、交渉はスムーズに進みません。
そのため、買い手は常に売り手を不安にさせないように意識することが大切です。例えば、これまでの実績に加え、成約後の具体的なビジョンを伝えるだけでも、売り手の不安は解消されるでしょう。
M&Aの買い手は、売り手の資産・事業だけでなく、従業員や取引先、顧客も引き継ぐことになるでしょう。これらを承継するにあたって、売り手は「従業員の労働環境が守られること」、「取引先や顧客に迷惑をかけないこと」などを希望するケースが多く見られます。
特に、従業員のストレスや不安に関しては、買い手は敏感に感じ取る必要があります。「雇用が安定するかもしれない」と期待を寄せる一方で、環境が大きく変わることを不安に感じている従業員は多く現れるはずです。
したがって、アフターM&AやPMI(経営統合)に関して、具体的にどのようなプランを持っているのかという部分を、売り手に伝えることが望ましいケースもあるでしょう。
売り手が押さえておくべきポイントとしては、
上記の3つを挙げることができます。それでは、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
M&Aの買い手企業は、売り手が抱えているリスクを何よりも敬遠します。買い手はそのリスクも引き継ぐことになるので、売り手が提供した情報を信用し、その情報を分析することでリスク対策を検討します。
しかし、ここで虚偽の情報を提供すると、買い手が分析にかけた時間やコストが無駄になってしまいます。M&Aの成約後に嘘をついたことが判明した場合は、訴訟などのトラブルに発展する恐れもあるでしょう。
さらに、買い手に対して嘘や隠し事をすることで、M&Aアドバイザーなどの仲介者の面目もつぶれます。買い手・仲介者に迷惑をかけるだけでなく、信用性の低下によって自社がダメージを負う可能性も十分に考えられるので、嘘や隠し事は絶対に避ける必要があるでしょう。
M&Aにおいては、売り手側もさまざまな条件を設定していることでしょう。しかし、買い手に対する条件が厳しすぎると、なかなか成約まで辿りつけず、時間やコストを浪費してしまう恐れがあります。
そのため、条件を定めておくことが大切なポイントですが、その条件に固執しないように意識しましょう。買い手の立場になり、臨機応変に譲歩する姿勢を見せることも、M&Aを成約させる秘訣です。
ただし、譲れない部分については妥協するべきではありません。例えば、新しい事業を始めるために自社の売却を狙っているのにも関わらず、売却金額を妥協することになると、目的を達成することができません。したがって、妥協できる部分・できない部分をあらかじめ決めておくことが望ましいでしょう。
買い手がM&Aを行う主な目的のひとつに、「経営資源をスピーディーに獲得できる」という点があります。対象企業を買収することによって、買い手はヒト・モノ・ノウハウを短期間で獲得できるので、M&Aは「時間を買う」と表現されることもあります。
しかし、交渉の中で売り手が決断を渋ると、そのスピーディーさが失われてしまいます。つまり、買い手の大きなメリットをひとつ潰していることになるので、交渉期間中に多くの時間をかけることは望ましくありません。
また、M&Aにおける企業の価値は「時価」を用いて算出されるので、時間が経過するほどに自社の価値が下がってしまう恐れもあります。そのため、早めの決断・早めの行動を意識して、短期間で成約できる状況を整えておくことが大切です。
M&Aにおいては、買い手・売り手の双方が押さえておくべきポイントもあります。具体的には、
(4)社長同士の相性(ビジョン・モラル感)
(5)企業文化の統合相性
(6)交渉における歩み寄りの姿勢
上記3つのポイントを押さえた上で、交渉に臨むことが望ましいでしょう。では、各ポイントについて以下で詳しく見ていきましょう。
M&Aの交渉は、基本的に買い手・買い手の社長同士で行われます。M&Aアドバイザーなどの仲介役は存在しますが、直接社長同士で話し合う機会もあるので、やはり社長同士の相性は重要なポイントとなるでしょう。
具体的には、
などの相性が良い場合には、お互いが納得できる形で交渉を進めやすくなります。
社長同士だけでなく、企業同士の相性も軽視できないポイントです。企業文化は各企業で異なりますが、買い手・売り手の企業文化がかけ離れていると、それを統合することは簡単ではありません。
企業文化の統合相性が悪い場合は、従業員にその負担がかかってきます。なかなか新しい環境に馴染めない従業員が増え、従業員全体のモチベーションが低下することによって、経営面にもダメージが蓄積されていくでしょう。
したがって、双方の経営者は自社の企業文化を明確に把握し、相手方の企業文化と比較をした上で、相性が良いかどうかを慎重に判断することが大切です。
M&Aにおいては、買い手と売り手の意見が食い違うことも珍しくありません。売り手としては可能な限り多くのキャピタルゲインを得たいですし、買い手としてはコストを抑えたいので、これは当然の結果と言えるでしょう。
そのため、M&Aを成約させるには、お互いが相手の条件に歩み寄る姿勢を見せることが大切になります。お互いがただ自分の主張を通すだけでは、一向に話し合いが進みません。それでは時間・コストを無駄にしてしまうので、お互いが相手の立場になって考えることを意識しておきましょう。
M&Aの成約までにかかる時間はケースによって異なりますが、買い手・売り手の双方が今回ご紹介したポイントを押さえておけば、よりスムーズに交渉を進められるはずです。お互い妥協できない部分はもちろんありますが、基本的には相手の立場になって考え、可能であれば譲歩する姿勢を見せるようにしましょう。
M&A最終合意とクロージング - 事業承継とM&A研究会
http://www.morikan.co.jp/14274533137641
J-Partner | 株式会社Jパートナー | 節税・資産運用・専門家・コンサルティング
http://www.j-partner.com/column/no48.html
公認会計士事務所のM&Aは早く行動を起こす|JAPANディレクトリ
http://www.wingstrust.org/210busines/12062919.html
M&A、売り手と買い手の重要ポイント 菊池事務所
http://www.kikuchitax.net/1001mauritetokaite.html
M&A,交渉,態度,心構え
http://www.tsukioka-1.com/14/14.html
買い手が知っておきたいM&A成約の秘訣/日本M&Aアドバイザー協会
http://www.jma-a.org/buy/point
買収先の「企業文化」は徐々に統合すべきか、一気に融合させるか 孫正義が出題、思考力を磨く設問:PRESIDENT Online - プレジデント
http://president.jp/articles/-/14912
M&Aにおける企業文化の課題(前編)|サービス:人事・組織コンサルティング|デロイト トーマツ グループ|Deloitte
http://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/articles/hcm/hc-initiative-30.html

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