M&Aに対する5つの誤解は?M&Aの前に知っておくべきポイント


皆さんはM&Aに対して、どのような印象をお持ちでしょうか?海外ではM&Aは広く浸透しており、積極的に経営戦略として活用されていますが、日本においてはマイナスイメージを持たれることがあり、特に地方の中小企業に浸透しきっているとは言えません。その大きな要因のひとつに、「M&Aに対する誤解」があります。

ここでは、M&Aに対する5つの誤解について解説していきます。

■【誤解その1】M&Aは敵対的買収ではない

日本においては、ドラマや書籍などで「敵対的買収」のためにM&Aを行うケースが見られます。しかし、M&Aの主な目的は敵対的買収ではありません。

M&Aには、買い手側・売り手側の双方にとって、以下のようなメリットがあります。

○買い手側のメリット

  • 事業規模を拡大できる
  • 市場を拡大できる
  • 異業種へスムーズに進出できる
  • 弱い部門を強化できる
  • 人材育成など、企業成長にかかる時間をカットできる など

○売り手側のメリット

  • 従業員の雇用を守ることができる
  • 成長させる事業を選択し、資金を集中できる
  • 経営者がキャピタルゲインを得られる
  • 後継者問題が解消される など

(★ここは図表にした方が良いかもしれないです)

このように、M&Aでメリットを得るのは買い手側だけではないので、M&Aは敵対的買収の面だけを持ち合わせているわけではありません。

例えば、優秀な人材や優れた事業計画があるのにも関わらず、資金不足を原因に事業をスムーズに進められないA社が存在するとしましょう。豊富な資金を所有しているB社がその事業を買い取れば、A社の従業員は希望通りに事業を進めることができます。もちろん、B社は事業が成功すれば、大きな利益を得られるでしょう。

実際に、上記のようなM&Aのケースは世界のさまざまな地域で見られます。特に中小企業のM&Aは、敵対的買収といった側面ではなく、企業や事業を第三者へ友好的に承継するために活用されるケースが多くなっています。

■【誤解その2】買い手側の乗っ取りではない

M&Aが成約すると、経営権を買い手側の企業が握ることになるので、「乗っ取り」といったイメージを持たれる方も少なくありません。しかし、実際のM&Aは、双方がしっかりと話し合いをした上で成立をするため、決して乗っ取り行為ではないと言えます。

中小企業のM&Aにおいては、買い手側は基本的に買収した事業・人材・資産などを、「どのように活用するべきか」検討します。つまり、売り手側に嫌がらせをするのではなく、あくまでも利益を追求するために買収をします。売り手側に関しては、内部では解決できない経営課題を抱えた時に、M&Aを検討するケースが多くなっています。

このように、お互いの希望を実現する手段こそがM&Aであり、私怨や対立などによってM&Aが行われるわけではありません。売り手側も契約に関しては条件を提示することができますし、基本的に双方が合意しなければM&Aは成約しないので、M&Aは乗っ取りではなく友好的な方法と言えます。

■【誤解その3】売り手側がM&Aをする理由は、経営不振だけではない

M&Aに対して、「経営不振に陥ったから、自社を売却して資金を得る」といったイメージを持たれている方は多く見られます。しかし、特に中小企業のM&Aに関しては、経営不振から逃れることだけが目的とされるわけではありません。

代表的な目的としては、「後継者問題の解消」が挙げられるでしょう。現在の日本では、年間に7万社が後継者不在で廃業しているとされており、特に地方の中小企業にとって後継者不足は深刻な問題です。

しかし、M&Aが成約すれば、スムーズに企業・事業を承継することができ、後継者問題を短期間で解消できる可能性があるのです。ほかにも、M&Aの売り手側の目的としては、

  • キャピタルゲインを得て、それを元手に新たな事業を始める
  • アーリーリタイヤをして、老後資金を短期間で捻出する
  • 従業員の生活(雇用)を安定させる

などが挙げられるでしょう。

■【誤解その4】マネーゲームではない

M&Aの買い手側は、対象企業を買収した後にさまざまなリスク対策を行い、より多くの利益を追求するために努めています。つまり、M&Aはギャンブルや投資といったマネーゲームではなく、あくまでも企業の「経営戦略」と言えます。

実際に、現代の日本でも常に成長することを目指して、小規模なM&Aを多数行っている企業は見られます。M&Aの買い手側は、成約前に「デューデリジェンス」と呼ばれる調査を実施し、さまざまなリスクとその対策を明確にするので、決してギャンブル性が高い戦略とは言えないでしょう。

■【誤解その5】買い手側の企業はハゲタカばかりではない

M&Aと聞いて、「ハゲタカ」をイメージする方もいるのではないでしょうか?徹底的に企業を買収し、資産価値を高めて売却する買収専門の企業のことを、その様に例えてハゲタカと言います。

確かに、世の中にはハゲタカと呼ばれる企業も存在していますが、そのような企業の経営が安定しているわけではありません。大量の損失を抱える事例も増えてきており、話し合いを進める過程で売り手側のモチベーションが下がり、結果として破談をするといったケースも多くあります。

あくまでも、現代のM&Aは「双方が納得した形」で進める経営戦略です。一方的に買収されるわけではないので、その部分を誤解しないことが大切です。

■おわりに

今回ご紹介してきたように、M&Aはさまざまな方面で誤解されるケースが多く、それが要因となって国内では広く浸透していません。しかし、後継者不足や資金不足などに悩んでいる中小企業にとっては、短期間で問題を解決する重要な経営戦略となり得ます。

もちろん、買い手側にとっても市場規模や事業を拡大するチャンスとなるので、「双方にメリットのある経営戦略」という点を、しっかりと理解しておくべきでしょう。

参考URL:

M&Aのメリット/日本M&Aアドバイザー協会
http://www.jma-a.org/sell/merit

M&Aのメリットとデメリットは? | M&A・国際法務に強い弁護士はM&A総合法律事務所
http://tokyo-malaw.jp/ma_merit_demerit/

M&Aの目的とメリット | ユニバーサルM&A
http://www.unma.com/advantage

M&Aについて|目的や買収・売却の流れについて解説しています | 船井(デューデリ)
http://funai-duedili.com/about-ma/

中小企業のM&A活用法 1.実践中小企業とM&A | 帝国データバンク[TDB]
https://www.tdb.co.jp/knowledge/manda/01.html

第1回:「もったいない」企業を、M&Aで救おう:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20070620/127899/?rt=nocnt

ハゲタカって何? – SOHO 解決済 | 教えて!goo
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1303724.html

ハゲタカとは?資産価値を上げて第三者に売却!
https://fx-works.jp/yougo-hagetaka/

【M&Aといえば、NHKドラマ「ハゲタカ」みたいな『安く買って、高く売る!』ってイメージですか?】-実際は永遠に苦悩が続くタフでへヴィな仕事-:ビジネスを楽しく!熱く! 『デラマンチャ・ビジネスラボ』:オルタナティブ・ブログ
http://blogs.itmedia.co.jp/hybrid/2012/03/ma.html

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