レーマン方式によるM&Aの成功報酬・手数料を徹底解説


M&Aアドバイザーへ支払う報酬は、一般的に「レーマン方式」によって算出されるケースが多くなっています。レーマン方式では、M&Aの取引価額に応じて報酬の割合が定められているので、事前にM&Aアドバイザーに支払う報酬をある程度把握することができます。

そこで今回は、このレーマン方式によるM&Aの成功報酬・手数料の算出方法を分かりやすく解説していきましょう。

■M&Aアドバイザーへの報酬(レーマン方式)

レーマン方式ではM&Aの取引価額によって、以下のようにM&Aアドバイザーへの報酬の割合が変わってきます。

  • 5億円以下の部分…5%
  • 5億円超~10億円以下の部分…4%
  • 10億円超~50億円以下の部分…3%
  • 50億円超の部分…2%

上記を見て分かる通り、取引価額が5億円を超えない限りは、M&Aアドバイザーへの報酬は一律5%となります。しかし、5億円を超えると多少計算が複雑になるので、その点に注意して算出する必要があります。

■レーマン方式による算出の具体例

では、より分かりやすく解説するために、以下では具体例を挙げて算出方法を見ていきましょう。取引価額が7億円のM&Aが成約したとすると、M&Aアドバイザーの成功報酬・手数料は以下のように算出されます。

5億円×5%+(7億円-5億円)×4%=3,300万円

つまり、7億円のうち5億円に関しては5%の成功報酬となりますが、うち2億円については4%が成功報酬として加算されていきます。また、10億円を超えるケース、50億円を超えるケースになると、さらに計算式は複雑になるので、以下の例でしっかりと確認しておきましょう。

・取引価額が12億円のケース

5億円×5%+5億円×4%+(12億円-10億円)×3%=3,900万円

・取引価額が60億円のケース

5億円×5%+5億円×4%+40億円×3%+(60億円-50億円)×2%=1億7,300万円

ちなみにですが、M&Aアドバイザーに支払う最低報酬額の相場は、150万円(成功報酬型)~2,000万円(投資銀行系)とされています。レーマン方式か否かによってコストが大きく変わることもあるので、その点に注意して依頼先を選ぶようにしましょう。

■同じレーマン方式でも、依頼先によって成功報酬・手数料が異なる理由

同じレーマン方式を採用していても、M&Aでは依頼先によって成功報酬・手数料が変わってきます。これは、レーマン方式の割合が異なるわけではなく、取引価額にあたる部分の算出基準が異なるためです。

成功報酬・手数料の主な算出基準としては、以下の3つが挙げられます。

【1】譲渡金額基準…実際の取引価額を基準として、料率を乗じる

【2】移動相資産基準…株価+負債総額を基準として、料率を乗じる

【3】企業価値基準…株価+有利子負債を基準として、料率を乗じる

では、算出基準が異なることによって、M&Aアドバイザーに支払う成功報酬・手数料が具体的にどれぐらい異なるのかについて、以下で例を交えながら見ていきましょう。株価が1億円、負債総額が4億円、有利子負債が4億2,000万円の企業が、株式譲渡によってM&Aを成約させたとします。

【1】譲渡金額基準

1億円×5%=500万円

【2】移動総資産基準

(1億円+4億円)×5%=2,500万円

【3】企業価値基準

1億円+4億2,000万円=5億2,000万円…基準額

5億円×5%+2,000万円×4%=2,580万円

このように、M&Aアドバイザーの成功報酬・手数料は、基準となる取引価額だけでなく、算出基準によっても大きく変わってきます。上記の【1】と【3】の結果を比べると、その金額には5倍以上の差があり、【3】を選ぶとM&Aの買い手の負担が増大することになります。

ただし、どのようなケースにおいても、算出基準によって大きな差が生じるわけではありません。負債を一切抱えていない対象企業を買収する場合には、負債総額・有利子負債ともに0円として計算されるので、【1】~【3】の算出結果は変わらないことになります。

つまり、注意するべきなのはM&Aの売り手側が、多くの負債を抱えていた時です。負債額(有利子負債)が多い場合には、移動相資産基準や企業価値基準を選ぶとコストが増大してしまう恐れがあるので、慎重にM&Aアドバイザーを選ぶようにしましょう。

なお、依頼先によっては成功報酬・手数料以外に着手金などのコストが発生するケースもあるので、事前に依頼先の情報をしっかりと調べた上で、依頼するM&Aアドバイザーを選ぶことが大切です。

■おわりに

今回は、レーマン方式による成功報酬・手数料の算出方法を紹介してきました。

レーマン方式は一見すると複雑に感じる可能性もありますが、その具体的な算出方法は意外とシンプルであり、上記の式に当てはめれば誰でも算出することができます。算出基準の違いも理解しておけば、よりコストを抑えた形でM&Aアドバイザーに依頼できるでしょう。売り手の負債総額・有利子負債にも着目しながら、慎重に依頼するM&Aアドバイザーを選ぶことが大切です。

参考URL:

成功報酬型の手数料 - M&A/事業承継のM&Aキャピタルパートナーズ【東証一部上場:6080】

M&Aにおけるレーマン方式とはどのようなものでしょうか? | M&Aコンサルティング会社のエクステンド

なぜ、成功報酬でM&Aを依頼するとうまくいかないのか? | M&Aコンサルティング会社のエクステンド

レーマン方式|M&A用語集|日本M&Aセンター:No1のM&A支援実績

レーマン方式とは - コトバンク

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