アフターM&Aとは?企業買収後の経営統合で失敗しない5つのポイント


M&Aの買い手側にとっては、M&Aを成約させることが最終的な目的ではありません。成約後に企業の体制をしっかりと整えて、さらに事業や利益を拡大していくことが大きな目的となります。

しかし、M&Aが成約すると2つの企業が統合されるので、さまざまな面で新たな問題やリスクが生じることもあります。そのため、買い手側はM&Aを検討している段階から、「アフターM&A」の計画をしっかりと立てておく必要があります。

ここでは、買い手側にとって重要となるアフターM&Aの概要や、企業買収後の経営統合で失敗しない5つのポイントをご紹介していきます。

■アフターM&Aとは?

M&Aが成約すると、買い手側は2つの企業の経営を統合させる必要があります。これを「PMI(Post Merger Integration)」と言いますが、PMIに積極的に取り組まなければ、M&Aのシナジー効果を期待することは難しくなります。このPMIのように、M&Aが成約してからの計画のことを「アフターM&A」と言います。

アフターM&Aの具体的な経営統合業務としては、

  • 従業員へM&Aに関する告知をする
  • 従業員の就業条件を決める
  • 有能な人材を確保できるよう、人事を整える
  • 2つの企業がスムーズに統合するための規程を定める
  • 円滑にコミュニケーションを図れる環境をつくる

などが挙げられるでしょう。このように、買い手側はM&Aが成約した後にも取り組むべきことが多いので、買い手側にとっては「アフターM&Aこそが本当のスタート」と言えます。

では、アフターM&Aにおいてはどのようなポイントが重要になるのかについて、以下で具体的に見ていきましょう。

■アフターM&Aにおける重要なポイント

【ポイント1】統合するべきもの、するべきでないものを見極める

M&Aによって2つの企業が統合するからと言って、企業内部の全てを統合する必要はありません。元々、2つの企業は別々の組織であるため、全てを統合しようとすると逆にスムーズにPMIが進まない恐れがあります。

例えば、買い手側と売り手側の従業員が、それぞれ異なる企業文化を持っているとしましょう。この企業文化を無理に統合しようとすると、ケースによっては従業員の不満が増大してしまい、企業全体のモチベーション低下につながる恐れがあります。

PMIにおいて統合対象となるものには、従業員のほかにも

  • 技術や設備
  • 従業員の労働環境や就業条件
  • 組織
  • 市場
  • 事業内容

などがあるでしょう。2つの企業の特性を踏まえて、何を統合するべきなのか、どの部分をそのままにしておくのかを慎重に判断することが大切です。

【ポイント2】どの体制を先に整えるべきか、優先度を決める

【ポイント1】でご紹介したように、M&Aの買い手側はさまざまなものを統合しなくてはなりません。しかし、統合に割ける時間や人材も限られてくるので、同時に全てを統合しようとすると、「ひずみ」が生じてしまう恐れがあります。

特に注意するべきなのは、現在の顧客に対して混乱を招くことです。従業員や労働環境など、企業の内部にだけ目を向けていると、顧客や取引先に迷惑をかけてしまう恐れがあります。

したがって、多くのケースでは営業組織の再編、人材マネジメントの優先度が高いと言えるでしょう。M&Aによる内部・外部への影響を踏まえて、どの部分の統合から取り組むべきなのかを慎重に判断する必要があります。

【ポイント3】適してる組織モデルを見定める

組織モデルは企業によってさまざまであるため、統合する2つの企業の組織モデルが大きく異なっているケースも珍しくはありません。また、売り手側と買い手側の組織モデルが同様のものであっても、M&Aによって企業の実情は変わってくるので、適した組織モデルも変化する可能性があります。

そのため、組織モデルの修正は、経営統合業務として欠かせないものと言えるでしょう。日本国内においては買い手側が本社となり、子会社などの形で売り手側に経営を委ねる「委譲モデル」が一般的ですが、ケースによってはほかの組織モデルが望ましいこともあるでしょう。

【ポイント4】従業員をしっかりとフォローする

M&Aが成約すると、買い手側・売り手側の従業員の環境が大きく変わることもあります。特に売り手側の従業員は、「これから経営が安定する」と期待している反面で、「自分の能力でついていけるのか」などの不安を感じることもあるでしょう。

従業員が不安を感じると、仕事へのモチベーションにも影響が出てきます。会社全体の業務効率が下がると、当然経営にも大きなダメージを与えかねないので、従業員のフォローも重視するべきポイントでしょう。

従業員へのフォローは、顧客や取引先へのフォローと比べると優先度は低い傾向にありますが、できれば180日以内に具体的な対策を実施し、不安を取り除いてあげることが大切です。

【ポイント5】対象企業のデューデリジェンスも重要

アフターM&Aに向けてしっかりと準備を進めても、経営統合の後に新たなリスクや問題が生じてしまうこともあります。そのため、M&Aの対象企業を事前に調査し、リスクや問題点を分析した上で対策を立てる「デューデリジェンス」は、買い手側にとって欠かせないポイントとなります。

デューデリジェンスにも複数の種類がありますが、実施するには時間やコストがかかるので、どのような調査・分析を重視するべきなのかを判断した上で行動に移すことが望ましいでしょう。

■おわりに

M&Aが成約した場合、買い手側の企業は内部・外部の双方に目を向ける必要があります。顧客や取引先、従業員などさまざまな方面に影響を及ぼす恐れがあるので、そのリスクを極力抑えるために、短期間で多くのことに取り組まなければなりません。

したがって、M&Aを検討している段階でアフターM&Aについて計画し、スムーズに経営を統合させることが望ましいでしょう。

参考URL:

M&AでのPMI(買収後の統合)のポイント | 株式会社アミダスパートナーズ
http://www.amidaspartners.com/column/61.html

PMI(ピー エム アイ)とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/PMI-802331

アフターM&A | | AGSコンサルティング
http://www.agsc.co.jp/business/after-m-a/

アフターM&A統合サポート|みらいコンサルティング株式会社
http://www.miraic.jp/service/list/ma/after/index.shtml

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