
中小企業の経営者がM&Aを活用し、自社を売却する理由にはさまざまなものがあります。これはつまり、M&Aは売り手側の企業にとって、多くのメリットがある戦略と言い換えることができるでしょう。では、M&Aは売り手側にとって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、経営者がM&Aで会社・事業を売却する主な理由から、売り手側の具体的なメリットをご紹介していきます。
世の中の企業の経営者は、これから事業を始めるという希望よりも、さらに大きな「不安」に悩まされがちです。特に地方企業や中小企業であれば、経営者は自社の将来性に不安を感じやすいでしょう。
では、経営者は具体的に、自社に対してどのような不安を感じているのでしょうか?主な不安としては、
【1】良好な経営状態が長期間続くのか
【2】従業員の生活を守れるのか
【3】有能な人材を採用、育成できるのか
などが挙げられるでしょう。M&Aはこれらの不安を解消するために、効果的な手段となり得ます。
例えば、M&Aで自社を売却すれば、【1】のように将来の経営状態を心配する必要はありません。買い手の企業が自社より大規模である場合には、従業員の生活が今より安定する可能性もあるでしょう。
現代では中小企業の中にも、より多くの利益を追求するために、事業が多角化している企業が見られます。しかし、事業が多角化すると、その分従業員や資金も社内で分散することになるので、特定の事業を期待通りに発展させることは難しくなります。
したがって、経営状態を良好にするためには、自社の得意な事業に絞って経営資源などを集中させる必要がありますが、このような経営戦略のことを「選択と集中」と言います。事業譲渡という形でM&Aを成立させれば、特定の事業のみを売却することができるので、選択した事業に経営資源を集中させて、事業の発展や実現を期待しやすくなります。
企業の経営は、能力のある経営者と優れた事業性の2つが揃っていれば、必ずしも成功するわけではありません。例えば、
上記のような問題点を抱えている企業であれば、事業をスムーズに進めることは難しいでしょう。
そのようなケースでM&Aを成立させれば、買い手側企業の資金や人材が特定の事業につぎ込まれることによって、事業再編の可能性が高まります。
M&Aは、資金調達の手段としても優れています。M&Aの売り手側は、事業価値に見合ったキャピタルゲインを得ることができますし、前述の「選択と集中」のように特定の事業に資金を集中させることも可能でしょう。
また、買い手側の企業と資本業務提携ができるという点も、M&Aの大きな魅力です。資金不足によって事業が期待通りに進まない企業、金融機関から融資を受けることが難しい経営者などは、M&Aによってその問題が一気に解消される可能性があるでしょう。
日本国内では、1年間に約7万社が「後継者不在」を理由に廃業していると言われています。特に厳しい経営環境や、将来性に不安を感じる企業に関しては、仮に経営者に子息や子女がいたとしても、後を継がない道を選択する可能性もあるでしょう。
そのような企業がM&Aを成立させれば、スムーズに後継者を見つけられる可能性があります。M&Aによって後継者が見つかると、後継者の育成にかかる時間やコストを節約することにもつながります。
M&Aを活用すれば、中小企業であっても大手傘下に入ることが可能となります。では、大手傘下に入ることによって、具体的にどのようなメリットが生じるのでしょうか?
主なメリットとしては、上記のものが挙げられるでしょう。大手傘下に入るという道を選べば、これまで見えていた中小企業の限界を超えられる可能性があります。企業の経営はもちろん、従業員の生活を安定させることも期待できるでしょう。
一般的に、M&Aの売却価格は「企業のバリュエーション」を基に定められます。バリュエーションとは、企業自体や事業、保有している資産などの価値のことです。
ただし、実際のM&Aでは必ずしもバリュエーション通りの売却価格が定められるわけではありません。M&Aの売却価格は、基本的に双方の合意額となります。
つまり、自社が赤字経営であったとしても、事業や保有している資産などが評価されれば、M&Aによってキャピタルゲインを得られる可能性があるのです。M&Aを上手に活用すれば、「このまま自分で経営を続けていても、赤字が膨らむ一方…」という状態から、「キャピタルゲインを得て引退できる」というメリットの大きい状態に変えることもできるでしょう。
ハッピーリタイアメントとは、定年に達する前に豊富な資金を残した状態で、引退生活に入ることを指します。一般的に、老後には数千万円の資金が必要とされていますが、M&Aという道を選択すれば、その老後資金を短期間で築くことも可能です。
もちろん、このまま経営を継続し、コツコツと老後資金を貯める選択肢もあるでしょう。しかし、企業の経営にはリスクがつきものであり、経営期間が長引くほど直面するリスクは増えてきます。主なリスクとしては、国内全体の不況や従業員の不満、流行の変化などが挙げられるでしょう。
一方、M&Aは成立さえしてしまえば、その後に経済的に大きな損をするリスクを抱えることはほとんどありません。
ここまで解説してきた通り、M&Aは短期間で多くの資金を得られる手段となり得ます。そのため、その資金を元手として、新しい事業に挑戦することも十分可能でしょう。
例えば、中小企業の経営を続けて、年間に500万円の貯蓄をしたとしても、1億円を貯めるまでには20年かかります。一方、当初からM&Aで売却することを見据えて、自社や事業の価値を着実に高めていけば、10年以内に1億円以上のキャピタルゲインを得られる可能性も十分に考えられます。
したがって、M&Aは「今の会社ではなく、新しい会社を興して大きな事業を始めたい」と感じている経営者にとって効果的な手段と言えます。
M&Aと一口に言っても、その方法にはさまざまなものがあります。中小企業を例に挙げると、代表的な方法は株式譲渡や事業譲渡となりますが、そのほかにも
などの選択肢があります。
当然ですが、M&Aでは選ぶ方法によって、売却の形や得られるキャピタルゲインなどに違いが生じてくるでしょう。そのため、M&Aを検討している経営者の方は、企業・事業を売却する「明確な目的」を定めた上で、その目的を達成できる方法を選ぶことが大切になります。
M&Aで会社・事業を売却する理由は、ケースによってさまざまです。M&Aにはキャピタルゲインを得られる、従業員や資産を引き継げるなど多くのメリットがあるので、経営者が抱えているさまざまな悩みを解消できる可能性があるでしょう。
自社の現状や将来性に不安を感じている方、新しい事に挑戦したい経営者の方などは、M&Aを積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
[お悩み06] 会社の将来性が心配です |転職ならDODA(デューダ)
http://doda.jp/guide/manual/1/003_06.html
社長・経営者が持つ「会社経営」の不安を取り除く | 「できる社長」のための会社経営と事業承継の専門サイト
http://www.withsmiles21.com/4676.html
M&Aの手法,メリット,デメリット
http://www.tsukioka-1.com/4/4.html
http://ss-net.com/succession/files/MA1410s.pdf
選択と集中|M&A用語集|日本M&Aセンター:No1のM&A支援実績
https://www.nihon-ma.co.jp/glossary/101ConcentrationinCoreCompetence.html
会社売却のメリット、M&Aを活用した事業承継 | 事業承継・会社売却・中小企業のM&A仲介 | M&Aアソシエイツ株式会社
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