出口戦略・EXITでアーリーリタイヤ。資産1億円を築く戦略とは?


起業してから早いタイミングで、「多くのお金を稼いでアーリーリタイヤしたい」と考えている経営者は多いことでしょう。しかし、短期間で個人資産を築くことは簡単な話ではありません。ただ事業をスムーズに進めるだけではなく、さまざまな手段を駆使しながら、戦略的に経営をすることが必要となります。

そこで今回は、資産1億円を築く戦略についてご紹介していきます。

■M&Aの活用方法

結論から言ってしまえば、資産1億円を築く戦略としては「M&A」が挙げられるでしょう。M&Aの売り手側は、事業に見合ったキャピタルゲインを得る形で、事業や従業員、資産などをスムーズに引き継ぎながらリタイヤすることができます。

つまり、現代のM&Aでは従業員や取引先などへの負担も最小限に抑えられるので、経営者としての社会的責任も果たすことができる手段と言えます。買い手側も納得した形で買収することを決めるため、自社の事業や従業員を無理に押し付けるわけではありません。

M&Aはこのような特性を持っているので、現在では「出口戦略」のひとつとして注目されています。出口戦略とは、経営からの撤退時に被害を最小限に抑える戦略のことです。

出口戦略にはほかにもさまざまな方法がありますが、M&A以外で代表的なものとしては、「IPO(新規株式公開)」が挙げられるでしょう。IPOとは、株式市場において自社の株を売買できるように公開する手段であり、買収されるきっかけをつくった上で、株式新規発行による資金を得ることができます。

しかし、IPOを実現するためには、

  • 形式基準…株主数や流通株式数などに関する基準
  • 実質基準…企業のリスクや健全性に関する基準

上記2つの基準を満たさなければなりません。これらの基準を満たすためには、目的達成までのスケジュールを明確に定め、企業全体で一丸となって努力をする必要があります。

では、M&Aについてはどのように進められるのでしょうか?M&Aは基本的に、売り手側と買い手側が相談をしながら、お互いが納得できる条件を固めていく流れとなります。具体的には、

  • M&Aのスケジュール
  • 買収、売却価格
  • 株式譲渡や事業譲渡など、M&Aの具体的な方法

などの点を話し合い、定められた条件に両者が合意をすればM&Aは実現します。つまり、IPOのように明確な基準を満たす必要はないので、経営者や従業員の負担を抑えられる可能性もあるでしょう。

そのため、現代のM&Aは「IPOに代わる出口戦略のひとつ」と言い換えることができます。

■年収2,000万円でも、個人資産1億円を築くためには30年以上かかってしまう理由

では、IPOやM&Aなどの出口戦略を活用せずに、経営を続けるだけで個人資産1億円を築くことは難しいのでしょうか?具体的な数値を交えながら、以下で解説していきましょう。

ある中小企業の経営者の年収を、2,000万円と仮定します。企業規模100人前後の中小企業とすると、年収2,000万円という金額は決して少なくはありません。

この年収2,000万円の状態で、経営を10年間続けた場合、

2,000万円×10年=2億円

上記のように経営者の収入は2億円となります。ただし、日本国内では収入に対して税金を納める必要があるので、2億円の収入を得たとしても、経営者の手元に残るのは1億円前後となるでしょう。つまり、このペースで貯蓄を続けることができれば、10年間で個人資産1億円を築ける計算となります。

しかし、これはあくまでも、「生活費を全く使わなかった場合」の話です。一般的に、人は収入が増えるほど生活の質も向上するとされていますが、ハイスペックな経営者が一般家庭より生活費を抑えることは可能でしょうか?

一般家庭の2人以上の勤労者世帯の消費支出は、年間に320万円前後とされていますが、税引き後の年収を1,000万円得ている経営者が、同じ生活の質で暮らすことは難しいでしょう。仮に、一般家庭の2倍の生活費とすると、年間支出は700万円前後となり、1年間に300万円程度しか貯蓄できないことになります。年間の貯蓄額を300万円とすると、

1億円÷300万円=約33年

個人資産1億円を築くには33年もかかってしまうのです。

では、上記のように月間の粗利益が300万円(役員報酬などを引く前)の経営者の方は、どのように個人資産1億円を築くべきでしょうか?やはり、手っ取り早く個人資産1億円を築く効果的な方法としては、「会社を売却(EXIT)」する方法が挙げられるでしょう。企業・事業の価値を高めた上でM&Aを成立させれば、33年かけて貯める1億円を一瞬で手に入れることも夢ではありません。

■ひとつの事業が長期間続く可能性も踏まえて

また、中小企業が抱えているひとつの事業が、33年間続く確率は果たして何%なのでしょうか?日本国内においては、中小企業の9割が10年以内に倒産するとされているので、33年間事業を続けることは簡単な話ではありません。全ての期待値を踏まえた上で、慎重に自社の継続期間を判断するべきでしょう。

さらに、長期間の経営を続けるとなれば、「経営のリスク」も増大することになります。例えば、

  • 流行によって、自社の事業に対する需要がなくなる
  • 仕入れにかかるコストが増大する
  • 日本全体が不況に陥り、自社の株価が下落する

などのリスクとも向き合わなければなりません。会社を経営する以上は、当然さまざまなリスクに直面することになりますが、経営が長期に及ぶほど直面するリスクの種類も増えてきます。

それに対し、M&Aでは年間経常利益3,600万円の経営状態を3年~4年間続けるだけで、1億800万円~1億4,400万円の株式売却が見込めます。加えて、株式のキャピタルゲインにかかる税金は20%となるので、1億2,500万円で売却することができれば、個人資産1億円がしっかりと手元に残ります。

あなたが30歳で起業したとすると、M&Aでは最短35歳前後で個人資産1億円を築けるのに対し、長期間の経営では60代まで1億円を築くことは難しくなります。35歳前後でアーリーリタイヤをすれば、築いた1億円の資金を元手に、新たな事業に挑戦することもできるでしょう。

M&Aにはこのような特性があるので、現代では新興国を中心に、世界的に注目されている経営戦略と言えます。日本国内においては、地方の中小企業への認知度が低い傾向にありますが、「M&Aについて詳しくない」というだけで、大きな損をしてしまっている経営者の方も多いことでしょう。

あなたはスピーディーに30代で個人資産1億円を築き、新たなビジネスにチャレンジしますか?

それとも、ゆっくりと時間をかけて60代で個人資産1億円を築き、幸せな老後を送りますか?

■おわりに

現代におけるM&Aは、中小企業の経営者が手っ取り早く個人資産を築くための効果的な手段です。出口戦略にはほかにもIPOなどの手段がありますが、中でもM&Aは売り手側の負担やリスクを最小限に抑えた上で、短期間で多くの個人資産を築ける戦略と言えるでしょう。

また、M&Aにはほかにも、

【1】従業員の雇用を守ることができる

【2】取引先など周りへの負担を抑えられる

【3】後継者をスムーズに見つけられる

などのメリットがあります。特に、アーリーリタイヤ後に新たな事業を始める方にとっては、上記【2】は大きなメリットとなり得るでしょう。取引先に悪い印象を与えると、悪い評判が広まってしまい、新しい事業に悪影響を及ぼしかねません。

個人資産を短期間で築きたい方、アーリーリタイヤを検討している方などは、M&Aの活用を積極的に考えてみましょう。

参考URL:

http://office.cbc-s.otaru-uc.ac.jp/wp-content/uploads/2011/06/senryaku05c1.pdf

出口戦略としてのIPO実現ガイド
http://keiei.freee.co.jp/2015/09/18/exit-ipo/

出口戦略 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%BA%E5%8F%A3%E6%88%A6%E7%95%A5

中小企業社長の適正年収、役員報酬の決め方 | 経営会議ドットコム
http://yts.jp/article/0172/#ttl_02

月々の生活費は平均していくらくらい?|公益財団法人 生命保険文化センタ
http://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/asset/1.html

会社生存率とは?中小企業は設立から10年で倒産する確率90%超!
http://askigyou.net/ki-ritsu

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