M&Aの取引価格(譲渡価格)と3つのプレーヤーの違いとは?


国内における企業のM&A件数は増加傾向にあり、その市場規模もさらに拡大するものと考えられています。よくニュースなどで耳にするM&Aは大企業のものが多いですが、全体では中小企業によるものが大半を占めています。

経営者がM&Aを検討するときには、アドバイザーとなる専門機関と契約を結んで交渉をしてもらう方法が一般的です。そこで、仲介役となるプレーヤーの役割とその市場の可能性について、取引価格の大きさ別に詳しく見ていきましょう。

■M&A市場におけるプレーヤーの役割

企業が実際にM&Aに踏み出すとき、まず必要となるのは資金です。さらに、会社の価値を算定して正当な取引を行うには、財務の知識や契約に関する法律知識が不可欠となります。

そこで登場するのがプレーヤーと呼ばれる存在であり、M&Aが売り手と買い手の双方にとってプラスとなるよう、お互いのマッチングサービスを提供しています。M&Aは大きなリスクをともなう取引となるため、企業戦略として成功させるにはプレーヤーによるアドバイスや支援がカギとなります。

そこで、以下では主要となるプレーヤーについて、取引価格の規模ごとにその役割を見ていきましょう。

■取引価額でみるM&A市場 日本のM&A(譲渡価格とプレーヤー)

【プレーヤーその1】証券会社、投資銀行

取引価格が10億〜100億円以上の大型案件を中心に、資金の支援だけでなくマッチングサービスも展開し始めています。海外企業とのM&Aや、上場企業のM&Aを中心に取り扱っている点が特徴です。

そのほか、都市銀行もM&Aの専門部署を設け、主に大手企業のM&Aを対象としてアドバイザリーサービスを提供しています。

【プレーヤーその2】M&Aブティック、監査法人、会計事務所

1億〜10億円規模のM&A案件に取り組むのが、M&Aブティックと呼ばれるM&A専門のサービスを提供する企業です。一方、監査法人や会計事務所などの財務の専門機関では、企業価値の算定をメイン業務としています。マッチングサービスに積極的に取り組むところも増えてきています。

そのほか、契約に関する場面では、大手の法律事務所も契約書の作成や情報管理におけるアドバイスなどを行っています。

【プレーヤーその3】個人アドバイザー

かつて証券会社や銀行に勤め、M&Aのサービス事業の経験を持つ人材が、独立してプレーヤーとなりアドバイザリーサービスを提供しています。扱うのは1億円以下の小規模案件が中心となりますが、M&A市場にさらなる価値を見出そうとプレーヤーのネットワーク化が図られています。

しかしながら、プレーヤーの数そのものが少なく、一定のスキルを身につけたアドバイザーの養成が課題となっています。

以上のように、M&Aにおけるプレーヤーは、取引価格の大きさによって分類するとその特徴がつかめてきます。また、従来の役割にとどまることなく、積極的にM&Aのマッチングサービスを手がけるプレーヤーも増えてきています。

M&A市場の今後を考えると、小規模案件に目を向けることがアドバイザリービジネスの発展につながると言えます。そこで注目したいのが、個人でアドバイザリーサービスを行うプレーヤーです。

■小規模案件こそM&A市場の可能性を秘めている

M&Aの市場は小規模のものが大半を占めるなか、そのアドバイザリーサービスの基盤はまだ発展途上と言えます。大型案件は大手銀行や証券会社へ流れてしまいますが、だからこそ小規模のM&A案件に目を向ける価値は十分にあります。

そのビジネスの担い手として最適なのが、まさに個人アドバイザーです。しかしながら、その数は少なく認知度も高くありません。まずはアドバイザー同士のネットワークを強化し、その存在をアピールしていくことが課題となります。それと同時に、アドバイザーとして高いスキルを身につけられるよう、支援体制の整備が求められています。

さらに、都内だけでなく地方にもエリアを拡大し、中小企業のM&Aをさらに応援していく必要があります。大手のプレーヤーによるサービスにはない独自のサービスや、細やかで柔軟な対応は、個人アドバイザーであるからこその強みとなるはずです。

M&A市場の今後は、小規模案件を主なサービス対象と考えることでその将来性が見えてきます。そのためには、開拓者となる個人アドバイザーの養成が絶対条件となってくるでしょう。

■おわりに

M&Aの市場を取引価格とプレーヤーごとに分類すると、大手の銀行や証券会社、専門サービス企業などが大型案件のシェアを占めていることがわかります。個人アドバイザーがそこに参入するには、小規模案件を幅広く取り扱うことで、競争力をつけることがひとつの道筋となります。

企業側の立場にとっても、より身近にM&Aの相談ができる存在がいることは大きなメリットとなるはずです。M&Aのサービス事業のさらなる発展のためにも、個人アドバイザーの発掘・養成を推進していくべきと言えるでしょう。

参考URL:

M&Aアドバイザーが 必要とされる訳/日本M&Aアドバイザー協会
http://www.jma-a.org/adviser/reason

M&Aの業界マップ | M&Aや会社売却なら「経営者のための実践ファイナンス」
http://ma-japan.info/archives/2686

M&Aアドバイザーの選び方 – 東京文京区の公認会計士・税理士 | あおば国際会計事務所
http://www.aoba-adv.com/ma_advisor

M&Aアドバイザーの役割|株式会社ベンチャー・インキュベーション・プランニング
http://www.viplan.co.jp/business/mergers-and-acquisitions/m-and-a-adviser.html

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